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給料の高い病院で初期研修をするメリット【医学生向け】

こんにちは、JIZOです。

この時期、医師国家試験に合格された皆さんが、学生最後の春休みを満喫されていることと思います。そんな方々の夢や希望に満ち溢れたTweetを眺めていると、初期研修に期待をせずに、「給料の高い病院」を「全国津々浦々から」探していた自分の過去を思い出しました。今でもその選択に後悔は無いので、そのことについて語ってみようかなと思います。

「大病院で働き、レベルの高い医療をまんべんなく見よう!」というハナシはよく聞くのですが、「給料はいいけど全科揃っていなかったり、最新の治療が出来ていなかったりする病院で働く」ハナシはあまり見かけないので、僕が書いてみました。

※この記事は個人の感想文です。紹介したデータが古かったり、今では状況が変わっている部分もあるかと思います。あくまで参考程度に留めて、ご自身で考えて研修病院を探してみてください。

全文は以下のnoteに載せました。具体的な病院名を挙げたり、デメリットも語る内容になっており少し気まずいので、具体的な部分は有料限定公開とさせていただいております。本当に悩んでいる医学生の方は、よろしくお願い致します。

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研修病院を選んだ基準

僕は研修病院を選ぶにあたって、立地や友人の有無、病院のブランドにこだわりはありませんでした。地元愛も無ければ、母校愛も特に無い醒めた青年でした。同僚がたくさん居てホームページで「俺たち○○レジ!イエーイ!!」みたいなノリも苦手なので研修医の多い大病院は避けました。

また僕は地方大学だったのですが、地元愛の強い同級生が多く「皆で一緒に〇〇病院で働く」みたいな風潮があり違和感を感じていました。

どうしても将来やりたいことがあったわけでもないので、「〇〇科が強いから」という基準もありませんでした。飽きっぽい性格で2年も研修すれば、やりたいことも変わっていくだろうという妙に客観的な考えもありました。医師としての能力だって、有名病院でもサボるやつは居るし、無名病院でも優秀なやつはいるだろう・・・自分次第だろうな、と。 そんな中、僕が基準にしたのは「パワハラ上司やイジワル同期が居ないこと」「給料が高いこと」でした。

 

入職後の環境なんて、入ってみないと分からない!

しかし、よく考えてみると流動性の激しい医療業界で「パワハラ上司がいないこと」を担保する方法はありません。見た目は温厚でも陰湿系パワハラ糞上司が潜んでいるリスクもあります。まして陰口ナースに目をつけられるとか、同僚がどんな人かなんてさっぱり選べません。人に関しては不確定要素ばかりです。 しかし給料の高さに関しては、コロコロ変わるものでもなく、病院見学の時に研修医の先輩に給与明細を見せてもらえば分かる変動の少ない要素でした。

高給病院で研修するメリット①心の余裕

僕は金持ちじゃ無いですが、特別お金に困っていたわけでもありません。それでも高給病院を選んだのは、目立った拘りがないことや不確実な要素が少ないという消極的な理由だけではなく、メリットがあったからです。

1つめは心の余裕です。研修医になると、実臨床の中で多くの疑問が生まれ、必要に駆られて大きな書店の医学書コーナーに足を運び、5000円以上の医学書を大量に買うことになるでしょう。その時に躊躇わずに買うことが出来るというのは、買おうかどうかアレコレ迷う心の消耗を防ぐことに繋がります。右も左も分からない初期研修医の頃は、精神的負担が半端なく降り注ぎます。そんな中少しでも心の消耗を避けることが出来るのは大切なメリットです。 またどんな病院で研修しても絶対に嫌なことはあります。理不尽なイベント、医療業界の闇、肉体的疲労、自分の能力への絶望感・・・。そんな時でも2万円くらいの焼き肉を友人と食べに行けば、案外リフレッシュされます。

「他の病院の研修医より全然カネ貰ってるし、我慢するか・・・。」と思えるのも大きいです。つまり自分で自分に言い訳が効くのです。もしこれで給料まで安かったら「俺はこんなに辛い目にあってるのに、給料まで安いなんて・・・」という思考に陥る可能性があります。

お金に困っていようがいまいが「自分もしかして労働者として搾取されてるんじゃね?」という疑問は、自己肯定感を下げることになるでしょう。

お金で解決出来る問題を、お金が無いという理由で悩まなくて済むというのは結構幸せだなと思いました。僕の研修した病院の理事長の迷言(?)に「医者に必要なのは知力・体力・経済力」というものがあります。これは「余裕がなければ他者に優しく出来ない」という意味合いで使っていました。慣れない社会人最初の2年間は絶対に精神的にも肉体的にも余裕が無くなります。せめて経済的には余裕があってもいいのかなと思いました。

高給病院で研修するメリット②マネーリテラシーの向上

忘れがちな2つめのメリットとして、マネーリテラシーの高い先輩や同僚に出会えるということです。そういう病院に辿り着く方々は医師としての能力は一旦置いておいて、マネーリテラシーが高い人が多いです。「ふるさと納税」「確定拠出型年金」あたりは必須。研修医の頃からGAFAの株をNISA枠なんかを使いながらコツコツ買い続けていたことが僕の世界一周旅行の原資になっています。

余ったお金は、手数料の安いインデックスファンドに積立。社会人1年目の僕は資産運用のシの字も知らないド素人でしたから、お金に興味のある周囲の影響でした。注意※上記の運用が正しいかどうかは分かりません。

オプション取引に精通していたり、会社経営をしてたり、不動産賃貸業をしている先輩も居たりと、気軽に昼食時にそういう話が出来る環境は視野も広がるしプライスレスだったと思います。

また、高給病院で働いていると好き勝手お金を使っていても勝手に貯金が増えていきます。そうすると自然とこの金を銀行で眠らせておくにはもったいないなと思うようになるのです。

※もちろんこのような病院に就職したからと言って皆がこのようになるわけではありませんし、それ以外の場所にもマネーリテラシーの非常に高い医師は居ます。

そもそも研修医の給料ってどんなもんだっけ?

そもそも研修医の平均収入ってどのくらいなんでしょうか?少し古い資料(平成23年)ですが、厚生労働省のホームページにこのようなものを見つけました。研修医の処遇に関して集めたデータです。これを見ると大学病院平均:307万円民間病院平均:435万円となっています。 さてgoogleで「研修医 給料 ランキング」と検索すると下記のページが出てきました。

このようなランキングなっていますが・・・この中に僕が見学に行った病院は1つもありません。よく見ると右下に小さく書いてある「※スタッフ調べ」という言葉・・・。

世の中には医学生向けに「レジなんとか」みたいなイベントが沢山やっていますし、研修病院の情報をまとめた雑誌も医学生に配られたりします。

でもちょっと待ってください、その雑誌に研修病院すべて書いてある??なぜ分厚いあの雑誌が無料で配られているのか考えてみましょう。そういうイベントにすべての病院が参加しているわけではないのです。

 

で、その研修病院ってどこにあるの?

下のスクリーンショットは某病院のホームページから写してきたものです。1年目から1000万円を超えるみたいですね。

上記の病院は僕が第2志望でマッチングを提出した病院です。ここからは有料という形で制限させてもらいます。全部公開でもいいかなと思っていたのですが、具体的な病院名が出ると検索で変に引っかかって不快な思いをされる方がいたら嫌だなと、後ろめたくてフィルターをかけました。物好きな人だけこっそり読んでみてください。

 

給料が高いだけではダメ。支出が少なくて済む病院。

給料の額面だけで考えるのもナンセンスです。生活費の中でも最も大きな存在である住居費。都内で家賃補助2万円しか出ない中、額面40万円で生活するのと、病院借り上げのマンションで暮らす額面35万円では後者のほうが豊かな暮らしが出来るでしょう。
〜以下note参照〜

高給病院の探し方

〜以下note参照〜

 

気になる病院一覧

僕の淡い記憶を頼りに上記の方法でいろんな病院のHPの研修医募集要項を見てみました!僕が研修病院を探していた頃とはだいぶ状況が変わってきていると思うので、自分にとっての穴場を見つけてみてください。いろんな病院の初期研修募集要項を見るのは案外楽しいですよ(笑)
〜以下note参照〜

 

基本給と残業手当・当直手当ての考え方

いくら基本給が高くても当直手当が安い病院はオススメしません。当直というのは基本的に精神がすり減る恐ろしい苦行です。人間は夜は眠るようにプログラムされていますので、その本能をぶち壊しにかかるんですから、それなりの報酬が無いとやってられません。

嫌々やらされている当直で夜中に叩き起こされると誰だって不機嫌になります。でもガッツリ当直手当が出るなら、「お金もらって当直をしている」というマインドが生まれて、夜勤の看護師さんや患者さんに優しくなれます。
医療ドキュメンタリー番組を見ていると、当直中の医師はほんとにぶっきらぼうで態度が悪いなと思ったことがあります。髪もボサボサ、服もダボダボ。金もらって夜中働いてるんだから、もっと周りのスタッフへの気配りとかしろよ、と僕なんかは思います。そうなってしまうのは、本当に疲弊しているか当直手当が安いからなのでは無いでしょうか?

残業手当ですが、これは本当に個人の考え方次第だと思います。基本給が高い病院で残業手当があまり出ないところは、みんな一生懸命業務を効率化して定時で帰られるように努力します。一方基本給が安く、残業手当がいくらでも出ると、用もないのにダラダラと病院に居残るカッコ悪い医者になってしまう可能性があります。
僕はこのダラダラと居残る医者が大嫌いです。病院なんて「やったほうがいい仕事」なんて探したら無限に出てきます。回診なんて何百回やったって構わないわけですから。それをあたかも仕事忙しいオーラを出して、ぼーっとカルテを眺めたり、自己研鑽と称してコーヒーを飲みながら読書している医者はカッコ悪い。
もちろんどう考えても終わらない業務や上司の命令によって居残る場合や、緊急の処置や手術には、きちんと残業手当が出るような病院で働くのが良いと思います。

なぜ給料が高いのか?(ブラックだから?)

note参照

政治活動に加担させられる病院がある?

note参照

 

高給病院では成長できないのか?

note参照

 

ゆるふわ高給病院で働くということ

僕の考えは「そもそも初期研修の2年間でどこまで成長する必要があるのか?」です。人生は長いので、自分なりのペースで学び続ければ良いと思います。生き急ぐ必要はありません。マラソンの序盤から全力疾走する人はいません。どういう自分になりたいかもはっきり分からない中、ただがむしゃらにやるのが美学・・・とも僕は思いません。

QOLも重視しながら、負荷なく自分のペースで走りたい人はこのような道もあるでしょう。初期研修でハイパーに働いても、精神を病んでしまったり、自分のしていることの意味を考えない思考停止軍団になっては意味がありません。

 

まとめ

給料が高い病院で初期研修をしようと思う理由は人それぞれでしょう。奨学金をさっさと返済したい人。養わなければならない家族がいる人。立地や人間関係にこだわりがなく、福利厚生の条件が相対的優位になってるだけの人。初期研修2年間でガッツリお金を貯めて3年目から世界一周旅行に行きたい人。

逆に、やりたいことが明確にある人は、自分の人生のビジョンに正直に進むのが良いと思います。友達と一緒に働きたいから、という理由で出身大学病院で過ごすのも良いと思います。何が大切かは、本当に人それぞれです。

たかだか2年間であり、ここでの数百万の違いが今後の人生に左右することはありません。本当にお金が欲しければ研修終了後、いくらでもやりようがあります。

僕が心配なのは、初期研修に過度な期待をして、絶望したり燃え尽きたりしてしまう研修医が出てしまうことです。人やシステムに期待をすれば、こんなはずではなかったと裏切られる可能性もあります。濃密な2年間、楽しいこともあれば嫌なこともあります。お金や立地や病院の綺麗さは裏切りません。

お金はお金、それ以上でもそれ以下でもありません。立地もホイホイ変わりません。それにお金は目的ではなく、自分の人生を豊かにするツールの1つでしかありません。そのような開き直りが、ただでさえ病みそうになる研修医時代を支えてくれる1つ支えになるだろうとは思います。

それから今回の議論は後期研修には当てはまりません。後期研修は自分のビジョンと施設の強みのマッチングが更に大切になってくるので、多元的に判断しなくてはならないからです。

僕は5年生くらいから、一人でコツコツ研修病院について調べていました。今回はずいぶんと極論のようなことを書きましたが、自分の価値観の中でバランスを取ることが大切です。この記事が同じく悩める医学生の皆さんの参考になればと思います。何度も保険をかけるようで恐縮ですが、僕の話は個人の主観的な感想なのであくまで参考程度に。誰かの評価とか周囲の同調圧力に惑わされずに、自分の価値基準は自分で決めるのが良いでしょう。

ABOUT ME
JIZO
健康で文化的な人生を求めて、医者を辞めて世界一周へ。